ZINEを作りたいけど、どんな紙を使えばいいかわからない…。
そんな人のために、今回はZINEの紙選びについて紹介します。
私は今まで4冊のZINEを作り、ZINEのイベントに5回以上参加しました。自分でZINEを作るだけでなく、他の方が作ったZINEも30冊以上読んでいます。
今回はZINEにおすすめの紙と、紙選びで意識するポイントについて解説します!
文章メインのZINEであれば上質紙70Kがおすすめ
文章メインでモノクロ印刷が中心の場合、上質紙70Kがおすすめです。どの印刷会社でも取り扱っており、価格も安いので手頃な紙として使えます。
他に書籍用紙という紙もあります。書籍用紙はクリーム色に近い色で、目が疲れにくい紙です。メジャーなのは「淡クリームキンマリ」。
上質紙と比較するとこんな感じです。書籍用紙はやや黄みがかっています。
書籍用紙を使うと、上質紙より値段は上がります。試しに100ページのZINE(A6)×100冊あたりで上質紙→書籍用紙に変更したところ、2,000円くらい差がありました。
ものすごく高い!というわけではないので、読みやすいZINEにしたかったら書籍用紙を使ってもいいでしょう。
アート系のZINEならコート紙がおすすめ
アート系のZINEなら、カラーが映えるコート紙がおすすめ。ツヤがあり発色がいいので、ZINEのデザインを見栄え良くしてくれます。
コート紙はインクジェットプリンターでの印刷に不向きです。もしコート紙を使って印刷するなら、自宅やコンビニのプリンターではなく印刷所に依頼しましょう。
なお、私が使っているちょ古っ都製本ではコート紙にPP加工ができませんでした。
もしPP加工をしたいのであれば、印刷会社で対応可能か確認しましょう。
私のZINEで実際に使った紙【写真付き】
私が実際に使った紙を写真付きで紹介します。参考として、印刷した方法も書いておきました。
紙の種類 | 本文/表紙 | 印刷した方法 |
普通紙 | 本文 | コンビニ印刷 |
上質紙 | 本文 | 印刷会社、自宅プリンター |
アートポスト紙 | 表紙 | 印刷会社 |
アラベール紙 | 表紙 | 印刷会社 |
ZINEを作るとき、参考になったら嬉しいです!
普通紙
通常のコピー用紙です。自宅のプリンターやコンビニで一般的に使われているので入手しやすく、コストも一番安くなります。
欠点として、紙が薄くて裏写りしやすいため安っぽく見えてしまいがち。試しに1部印刷してみたい場合は、普通紙がおすすめ。私も印刷会社に依頼する前は、普通紙で1冊分印刷しています。
フリーペーパーも普通紙で印刷しています。
上質紙
購入すれば自宅プリンターでも使えるほか、印刷会社でも使われています。普通紙より紙の質が高いので、基本的には上質紙がおすすめ。
同じ上質紙でも、厚さによっていくつか種類があります。私のお気に入り・ちょ古っ都製本工房さんで扱っているのは、次の3種類。
紙 | 厚さ |
上質紙70K | 約0.1mmで一般的なコピー用紙より少し厚めの紙 |
上質紙90K | 約0.12mm |
上質紙55K | 約0.08mm |
※印刷会社によって厚さは多少異なります。
上質紙70Kで印刷したZINEがこちら。
また、自宅プリンターでZINEを印刷したときにも上質紙を使いました。
写真をメインにしたので、裏写りしないようやや厚めの紙をチョイス。
アートポスト紙(表紙)
アートポスト紙はコート紙よりも表面がなめらかで、光沢がある紙です。厚みがあるため作りがしっかりしていて、PP加工も可能。
アート系のZINEにもおすすめしたい紙です!
こちらがアートポスト紙を使った表紙。
イラスト、表紙の発色もきれいです。薄めのZINEでも安っぽくなりません。
アラベール紙(表紙)
ナチュラルな色の紙で、優しい手触りと温かみを持っています。エッセイや短歌でやわらかい雰囲気に仕上げたいなら、アラベール紙がおすすめ。PP加工も可能です。
アラベール紙を使った表紙がこちら。
表面にわずかな凹凸があります。
紙選びにこだわったZINE
私が購入したZINEで、紙選びに凝ったZINEをピックアップしました。
つれづれ短歌(古居ケイさん)
古居ケイさんは短歌集『つれづれ短歌』を出しています。
テーマは「紙にこだわった短歌集」。
シンプルながら、着物を重ねたような美しさを感じます。
遊び紙の草木色が渋く、短歌というジャンルにもよく似合いますね。
使った紙を公開されていたのでまとめました。
表紙 | NTラシャ |
遊び紙 | レザック80ツムギ |
本文 | ミューズ色上質特厚口 |
印刷 | 自宅のプリンター |
紙の色合いや質感に、ケイさんのこだわりが詰め込まれています。
こちらはZINEフェス浅草にて販売されていました。
ちょっと、たちどまって。(LuCoさん)
お次に紹介するのはLuCoさんの『ちょっと、たちどまって。』です。LuCoさんが今までに全国各地で撮影したマンホールをまとめています。
こちらはキンコーズのOK金藤 135k(アート紙)を使用しています。キンコーズにて用紙見本を取り寄せ、指ざわりと発色が気に入ったためこの紙を選んだそうです。
なんとこちらのZINE、ご自分で中綴じ製本をしています!
一つひとつ、時間をかけて手作りしています。これほど自由に作れるのも、ZINEだからこそ。
LuCoさんも現在はイベント販売を中心に活動されています。
ZINEの紙選びで意識するポイント
実際にZINEを作ってみて、私が意識したポイントを紹介します。
- 表紙はPP加工ができるとベター
- 必ずコストを確認する
- 紙選びに迷ったら用紙見本を注文する
どんな紙でもZINEは作れますが、せっかく作るなら満足いくものを作りたいですよね。紙選びのヒントになったら嬉しいです。
表紙はPP加工ができるとベター
PPとは「ポリプロピレン」の略。用紙の表面をフィルムでコーティングし、表面を保護する加工です。PP加工をすると表面の耐久性が上がり、見栄えも改善するのでぜひ活用しましょう。
だいたいの印刷会社には、注文時にPP加工のオプションがあります。
私がZINEを印刷会社で作るときも、常にPP加工をお願いしています。見栄えを良くするため、かつ運ぶとき表面にキズが付くのを防ぐためです。
追加料金はかかるものの、クオリティを上げるための必要投資と割り切っています。
PP加工にはマットPP加工、グロスPP加工(クリアPP加工)の2種類があります。それぞれの特徴をまとめました。
加工の種類 | 特徴 |
マットPP加工 | 光沢がある 発色が鮮やか |
グロスPP加工(クリアPP加工) | 光の反射が抑えられる 高級感が出る |
仕上げたい作風によって使い分けましょう。私はエッセイZINEをマット加工、旅行記ZINEをグロス加工にしています。
必ずコストを確認する
自分の「好き」を詰め込めるのがZINEのいいところ。ついつい、紙や加工にこだわりを詰め込んでしまう人も多いでしょう。
しかしZINEを作るときはコストも大事。
もしZINEがたくさん売れても、作るたびに赤字だったらしんどいですよね。
大きな利益を出す必要はありませんが、創作を続けられるくらいの利益を意識しましょう。
コストについてはこちらの記事でも書いていますので、参考にしてください!
紙選びに迷ったら用紙見本を注文する
紙について調べても、写真では質感や色合いがいまいちわかりにくい…という場合もあるかもしれません。紙選びに迷ったら、印刷会社で用紙見本を注文しましょう。
用紙見本とは、各用紙の一部をサンプルとして束にしたもの。こちらはちょ古っ都製本さんの用紙見本です。
ちょ古っ都製本工房さんの「用紙見本お申込み」から見本を取り寄せられます。他の印刷会社でも、サンプルを用意しているところは多いです。
取り寄せるまでに時間はかかりますが、紙選びを徹底したい方は見本を注文しましょう。
まとめ
今回はZINEの紙選びについて紹介しました。
内容だけでなく、紙にもこだわれるのがZINEの醍醐味。最初は難しく感じるかもしれませんが、作っているうちにお気に入りの紙が見つかるはず。
また、イベントでZINEを買うときに作り方も意識すると参考になります!私はZINEを見に行くとき、紙の種類や印刷の方法もリサーチしています。
ZINEを作るなら内容を作るだけでなく、紙選びも楽しみましょう!
紙選びと合わせて、綴じ方もよく悩みの種になります。綴じ方についてはこちらの記事で紹介しているので、紙選びと合わせて参考にしてください!