ZINEの作り方を一から知りたい人に向けて、この記事ではZINEの企画〜製本までの工程をまとめました。
私は今まで4冊のZINEを作っており、またシェア型書店でZINE專門の「たいやき書房」を運営しています。イベントで実際にZINEを作っている人に、作り方を詳しく聞く機会もありました。
ZINEの作り方にルールはありません。
ここでは作り方の一例を紹介しているので、これからZINEを作る方はぜひ参考にしてください!
ZINEの作り方7ステップ
ZINEの作り方を7ステップに分けて紹介します。
- テーマ・アイデアを考える
- レイアウト・台割を作成する
- 本文・表紙を作成する
- 校正する
- 入稿データを作成する
- 印刷する
- 製本する
ジャンルやボリュームに関わらず、この7ステップで作れば失敗しません。
なお、こちらは1人で作成した場合を想定しています。アンソロジーのように何人か共同で作る場合は、こちらの記事も参考にしてください。
1.テーマ・アイデアを考える
いきなり作り始める前に、まずはテーマを考えましょう。
エッセイなら何を題材にしているのか、写真集ならどんなコンセプトの写真なのか…一本軸を決めて作ると、売るときも「こんな本です!」と自信を持ってアピールできます。
私の場合は「毒親育ち」をテーマにしました。同じテーマの本はすでに出回っていたのですが、大人になってからの生きづらさに触れた本はあまりありません。「なかったら自分が作ろう」と思い、テーマを決定。
テーマは「台湾旅行で撮った写真」や「日々の暮らしを書いた日記」でもOK!自分が好きで発信したいと思うテーマを考えましょう。ZINEは少部数で作るので、ニッチなジャンルでも出している人がいます。
アイデアに困ったら、こちらも参考にしてください。
2.レイアウト・台割を作成する
テーマが決まったら、レイアウトや台割を作成しましょう。
写真や文章を載せるページのほか、次のページも入れておくと本格的なZINEが作れます。
まずサイズ、ページ数を大まかに決めてから、各ページにどんな内容を入れるか考えます。作り始めてから変わることもあるので、この段階ではざっくりでOKです。
私はエッセイZINEをA6(文庫本サイズ)、写真ZINEをA5で作りました。写真やイラストがメインであれば、サイズはある程度大きい方が見やすくなります。
今まで見てきたZINEのサイズを、ジャンルごとに目安としてまとめました。
日記、エッセイ | A6 |
アンソロジー | B6 |
写真 | B6〜A4 |
サイズについてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ページ数は薄いZINEで8〜20ページ、多いもので150ページ以上あります。
私の場合、旅行記を50ページ、エッセイを100ページ前後で作りました。より薄い方が手軽に手に取ってもらえますが、特定のテーマでしっかり掘り下げたいなら100ページ以上作ってもOK。
ZINEのページ数に特化した記事をこちらにのせています。
3.本文・表紙を作成する
テーマ、構成まで決まったらいよいよ本文の作成に進みます。エッセイであれば文章、イラスト・写真であれば画像データを用意します。
印刷会社によって受け付けているデータ形式が異なるので、本文を作成する前に必ず確認しましょう。私はInDesignで本文を作成してから、PDFデータに書き出して入稿しています。
アプリ、印刷会社については後の「ZINEの作り方で悩みがちなポイント」で紹介します。印刷会社によってはテンプレートをダウンロードできるところもあるので、必要に応じて活用しましょう。
この段階で表紙も作成します。文章がメインのZINEでも、表紙の見栄えは大事です。
私はココナラでイラストレーターさんに表紙のイラストを依頼しています!
コストはかかりますが、自作にこだわらず読者の手に取ってもらうための必要経費として割り切っています。
4.校正する
本文・表紙を作成してからは校正を行います。誤字脱字や表記揺れ(または/又は、及び/およびなど、同じ言葉で漢字・ひらがなが混在していること)がないか確認します。
画面上でも校正はできますが、理想としては一度印刷して紙面で校正するのがおすすめ。画面上だと気づかないミスも多く、より確実に校正を行うためです。
会社員として働いていたころ、上司からも「校正は紙面で」と念押しされていました!
校正は自分の目で行うほか、文章がメインのZINEでは校正ツールを使うとより確実です。特に半角/全角や表記揺れは自分の目だけでチェックするのが難しいため、機械に頼るとより確実。
私はShodo
より確実に校正をしたいなら、ココナラで校正を依頼してもいいでしょう。コストはかかるものの、自分の目や校正ツールより確実です。
5.入稿データを作る
本文が完成したら、入稿データを作成します。
このとき注意したいのがカラーパターンの設定。画面上の色はR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)で作られていますが、印刷物の色はC(シアン)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、K(ブラック)で構成されます。
アプリ上の設定でカラーパターンをRGB→CYMKに変更しましょう。
なお、WordやパワポではCYMKを設定できません。通常の設定で印刷すると色が変わってしまうので、色をそのまま印刷するためにはRGB印刷を利用するのがおすすめです。
グラフィックではRGB印刷が可能です!
6.印刷する
入稿データが完成したら、いよいよ印刷。やっと原稿が形になります。
印刷する方法は3通りあります。
- 印刷会社で印刷・製本してもらう
- コンビニプリントで印刷
- 自宅のプリンターで印刷
おすすめは印刷会社に依頼して印刷・製本すること。キレイに作れる上、入稿データさえ出せば完成まで全てお任せできます。
薄くて手軽に読めるZINEを作りたい場合、イベント直前にZINEを作りたい場合はコンビニプリント・プリンターでもOK。
7.製本する
※印刷会社に依頼する場合、こちらは必要ありません。
コンビニプリント、自宅プリンターで印刷する場合、製本も自分で行います。写真ではホッチくるを使って中綴じ製本をしました。
ZINEの作り方で悩みがちなポイント
ZINEを作るとき、私が実際に悩んだポイントがいくつかありました。
- ZINEの紙選び
- ZINEの綴じ方
- ZINEを印刷する方法
- ZINEを作るときに使うアプリ
- ZINEを作るときにおすすめの印刷会社
解決のヒントを紹介します。
ZINEの紙選び
ZINEの印刷にあたり悩むのが、どんな紙を使うかということ。
高級感のある紙も魅力的ですが、あまりこだわると制作費がかさんでしまいます…。
文章系のZINEなら上質紙、アート系のZINEなら光沢のあるコート紙がおすすめ。
こちらに実際の作品例も含めた紙選びについて紹介しています。
紙に悩んだら、一度サンプルを取り寄せると実際の質感がわかります。サンプルは印刷会社で注文できます。
ZINEの綴じ方
ZINEを綴じる向き、綴じる方法も悩みどころ。縦書きのZINEは右綴じ、横書きのZINEや写真・イラスト系のZINEは左綴じが一般的です。
印刷会社に依頼するとき、綴じる向きは間違えやすいポイントです。
注文時に必ず確認しましょう!
ZINEの綴じ方でメジャーなのが中綴じと無線綴じ。中綴じはホチキスがあれば自分でもできますが、無線綴じは印刷会社に依頼するのがおすすめです。
ページ数が少なければ中綴じ、多いものは無線綴じがおすすめです。
ZINEを作るときに使うアプリ
ZINEを作れるアプリをまとめました。
- Illlustrator、Photoshop
- Clip Studio
- InDesign
- パワポ
- Word
- Canva
私はInDesign、Canvaを使っています!
デザインソフトに慣れていない方はパワポやWord、Canvaが使いやすいです。
文章のデータだけ作り、ココナラで版組みを依頼するのも手です。
ZINEを作るときにおすすめの印刷会社
ZINEを作るとき、迷うのが印刷会社。私のおすすめは次の3つです。
どれも価格が安く、製本がキレイです。1部から小ロットでZINEを印刷できます。
印刷会社についてはこちらにまとめました。
【ZINEの作り方】作るときの注意点
ZINEを作るときに注意したい点をまとめました。
- スケジュールは余裕を持って
- 自分でできないことは外注する
- 迷ったら自分の「好き」を優先する
どんなZINEを作るとしても、これらは大事なポイントです。
スケジュールは余裕を持って
特にZINEを作り慣れていない人は、スケジュールに余裕を持って作りましょう。理由は想定外のトラブルへの備えと、コストを抑えるためです。
実際に作ってみると、想定外のトラブルが起こります。
私が初めてZINEを作ったときは、
「ノド(冊子を開いたとき、綴じ目がくる部分)が狭すぎて読めません」と印刷会社から連絡をもらいました…。
他にも最終チェックの段階でレイアウトが崩れていたり、仕事が忙しくて作れない期間があったり…納得いく出来にするためにも、余裕を持ったスケジュールにしましょう。
加えて印刷会社に依頼するとき、納期は翌営業日〜10営業日を目安に選択できます。
納期が長いプランにすると、同じZINEでもより安く制作できます。制作費を抑えるためにも、スケジュールに余裕を持って入稿しましょう。
自分でできないことは外注する
ZINEを作っている途中で、自分だけの力では難しいと思ったら積極的に外注しましょう。
私は表紙のイラスト作成を外注しています。
コストはかかりますが、妥協して後悔するよりしっかりお金をかけて納得いくクオリティのZINEを作った方が楽しめます!
外注しやすいポイントをまとめました。
- 表紙のイラスト作成
- 校正
- 版組み
お願いできそうな知り合いがいれば依頼するのがベストですが、外注先に悩んだらココナラがおすすめ。
迷ったら自分の「好き」を優先する
作っているうちに、細かい内容で悩むこともあるでしょう。ZINEは自由だからこそ「絶対にこれが正解!」というものはありません。コストやスケジュールとの兼ね合いもあります。
それでも、迷ったときは自分のこだわりを優先しましょう。ZINEは自分の「好き」を発信するメディアです。仕事ではなく、したがって売上のノルマもありません。
自分の「好き」に妥協せず作ったZINEは、売るときも自信を持っておすすめできます!
ZINEが完成したら販売してみよう
ZINEが完成したら、実際に販売して人に届けましょう。この記事は作り方がメインなので、販売する方法についてはざっくり解説します。
最初はイベント出店がおすすめ
ZINEを売るには3通りの方法があります。
- イベントに出店する
- ショップに置いてもらう
- オンラインショップ、通販で販売する
ZINEを売るなら、最初はイベント出店がおすすめです。理由はイベントなら誰でもZINEを売れるから、そして読者の反応を直接見られるからです。
ショップに置いてもらうには営業が必要になるため、一度も販売した実績のない状態から売り込むのはかなり難しいでしょう。イベントなら申し込めば誰でもZINEを販売できます。
イベントにはZINEや本が好きな人が集まります!
ZINEを販売できるイベントとして代表的なものは、文学フリマやZINEフェス。他にも個人、地域で開催しているイベントもあります。2024年〜2025年開催のイベントについては、こちらにまとめました。
ZINEの価格相場は?300~2,000円くらい
ZINEの価格相場はコピー本だと300~500円、印刷会社で製本したものだと500~2,000円くらいが目安です。
迷ったら似たようなZINEを参考にしてもいいですし、制作費から1冊あたりのコストを計算しておくと赤字を防げます。
価格相場についてはこちらをどうぞ。
イベント後はオンラインショップで販売しよう
イベント後は、BOOTHやBASEなどのネット通販を使って販売しましょう。
私はBOOTHを使っています。無料でアカウントを開設できて、あんしんBOOTHパックを使えば匿名で発送できます。
「イベントに行けなかったけどZINEを買いたい」という人が、あなたのZINEを買ってくれるかもしれません!
まとめ
今回はZINEの作り方を、企画~製本までステップごとに紹介しました。
ZINEの作り方は決まっていないので、基本的にはみなさん自分の好きな方法で作っています。しかし自由だからこそ、悩みもつきものです。実際に作りながら、迷ったところはその都度調べて解決すればOK。
このブログではZINEの作り方、売り方をまとめています。
ZINEの作り方に悩んだら、ぜひ他の記事も参考にしてください!